忘れてたラブストーリー
たまにラブストーリー書いちゃおうかな?
もう、何年もワクワクとか、ドキドキなんかしていないからそれがどんなだったか感覚は無い。
ただ現実としてあった事、書いてみようかと。
まだ19才か20才の頃、田舎から都会に出て働いていた私は1日でも休みができると、夜行列車に乗って家に帰っていた。
その日も、仕事が終わって夕方の列車に乗っていた。
疲れてもいたし、次の朝に着くまでは列車の中に居なくてはならないので、(その頃は恥じらいあった)私はハンカチを顔に目を閉じていた。
その時すでに座っていたのか、後からその席に座ったのか今はもうわからないが若い男性が向かいのシートに居た。
どちらから話しかけたかも忘れてしまっているが、お互いの現状を話していた。
彼は東京の大学へ通う学生で、海外旅行の後、帰省する為この列車に乗っている事がわかった。
スーツケースには海外のステッカーがたくさん貼ってあった。
私はその頃、化粧品の販売で店頭に立っていたから、メイクはバッチリだったと思うし、記憶では白いジャケットだかスーツを着ていた?からちょっと目立ったかも。
話しが弾んで自由席だった2人は、深夜になるにつれて空いてきた席に移って朝まで話し続け連絡先を告げて別れた。
次の日、彼は私の家にやって来た。
その日買ったという5万円の助手席の床が穴の空いた車でドライブに出かけた。
私はまたその日のうちに、夜行列車に乗って職場のある都会へ戻った。
彼はそのまま夏休みの間留まり、東京へ戻る途中に私の一人暮らしの何も無い四畳半のアパートにやって来た。
トイレ共同、風呂なし。
そう!「神田川」の世界。近くの銭湯に行って外で待ってるという風景。
ギターを持って帰ってきていたので、キャドルを灯し2人で歌った。
東京へ戻った彼からは3日に空けず手紙が届いた。僕は恋に恋しているのかな?と自問しながらも。
私は一つ年上で社会人になっていたから最初はその熱に戸惑っていた。
けど、その手紙が1ヶ月2ヶ月とぱったり届かなくなった時、ドラマのような現実から戻れなくなっていた。
携帯電話も無い時代。連絡するすべをなくした私は東京行きの列車に乗っていた。
下宿先しか知らないのに。
途中の駅から職場に2~3日休みたいと電話してあてもない旅へ。
そこで向かいの席に座っていた男女が、傷心旅行中の女性とそれに寄り添う男友達だった。
東京駅に着いたとき、下宿先に電話をすると、スキーに行ってます。と
東京へ行けば会える。と突っ走ってきた私はどうする事も出来なくなってしまっていた。
その時、傷心旅行から戻った女性が、「ウチに泊まれば?」と声をかけてくれた。3畳の彼女の部屋に半分押し入れに足を入れ泊めてもらって、次の日2人に見送られながら職場へ戻った。
もう忘れよう。
そんな時、同じフロアのエレベーターで度々一緒なる人から声をかけられ、付き合って欲しいと「いいよ」
その後、プロポーズ。その言葉にズキン。「はい」
それでいいと思っていたの。
そんな中、東京の彼から電話が入った。友達を連れて帰省するからみんなに会わせたいと。
プロポーズされた彼に話し、キチンと話すから会ってくると。
友達と嬉しそうにやって来た彼に、何も知らず盛り上がっている友達の横で別れ話をした。
強烈な印象を残したまま会えなくなっていた私の心は、ぐちゃぐちゃに。
そのままを話す私に、結婚しようと思った彼は「俺の心に、迷っている君が忘れられない」と
何も言えなかった。
それからも、東京から地元へ戻った彼とは何度か会ったりもしたが、どこかあの勢いで突っ走った熱は感じられない寂しさに、熱くアプローチされた人と結婚した。
街で偶然出会って、ドキッとする時もあったが、一人で三人の子を育てるの事に必死で、そんな想いも無くなって、思い出す事もなくなってた数年前、死亡広告に彼の名を見たとき、走馬灯のように蘇った。
そうして今、誰にも迷惑をかけないなら書いてもいいのかな?とここに書きとめた、
忘れられないラブストーリー。